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熊田 高之; Karavitis, M.*; Goldschleger, I. U.*; Apkarian, V. A.*
放射線化学, (79), p.30 - 35, 2005/03
放射線化学過程を理解するうえにおいて、放射線により物質に付されたエネルギーがどのくらいの速度でどのような緩和過程を経るのか理解することは必須である。本研究はCARS(コヒーレント反ストークスラマン分光)法を用いて固体クリプトン中におけるヨウ素分子の振動緩和の研究を行ったものである。10K以下では分子振動のエネルギー緩和が、それ以上では位相緩和が分子コヒーレンスを破壊する主要因であることが判明した。また温度依存性の実験とシュミレーションから、位相緩和には40K付近のエネルギーを持つ局在フォノンが関与していることが判明した。
山内 俊彦; 峰原 英介; 菊澤 信宏; 早川 岳人; 沢村 勝; 永井 良治; 西森 信行; 羽島 良一; 静間 俊行; 亀井 康孝*; et al.
環境科学会誌, 13(3), p.383 - 390, 2000/09
8塩化ダイオキシンであるOCDD及びOCDFの混合20ngにCOレーザー及び自由電子レーザーを照射し、ダイオキシンの分解実験を行った。入射波長22mと25mでは照射による変化は見られなかったが、COレーザーの照射では危険なダイオキシンはなくなり、分解に成功した。8塩化ダイオキシン試料は、4-7塩化ダイオキシン類似外に分解したことがわかった。
関口 哲弘; 関口 広美*; 馬場 祐治
Surface Science, 454-456, p.363 - 368, 2000/05
被引用回数:23 パーセンタイル:72.46(Chemistry, Physical)シリコン(Si)半導体上における簡単な炭化水素分子の表面科学反応はSiC薄膜生成などの応用面からの要請も相俟って活発に進められている。本研究においては室温及び低温(93K)のSi基板上にアセトン((CH)CO)を吸着させた系について放射光からの軟X線を励起光源として起こる解離反応を調べた。アセトンは放射光の励起エネルギーを変えることにより、分子中の(-CH3とC=Oの)二種類の炭素原子を選択して内殻励起することができると考えられている。放射光照射により生じるイオン脱離生成物を四重極質量分析により検出した。単分子~約50分子吸着層についてフラグメント収量の励起光エネルギー依存性を測定した。実験結果としてはメチル基(CH)の炭素が内殻励起された場合のみ、CH(n=0-3)イオンが顕著に生成することがわかった。この結果はこの共鳴励起でC-C結合が特に顕著に切断されていることを示唆している。
関口 哲弘; 馬場 祐治; Li, Y.; Ali, M.
Photon Factory Activity Report 1998, Part B, P. 67, 1999/11
放射光のX線エネルギーを変化させることにより特定の元素の内殻電子準位を選択的に励起することができる。これは、例えば、ディジタル・エッチング(薄膜吸着→光照射(反応)薄膜吸着→…を単分子レベルで進行させようというアイデア)に応用できる可能性がある。本研究では表面励起とバルク励起の選択性を見積もるため、シリコン(Si)基板上にイオウ(s)化合物((CHS))を吸着させた系に対し、基板(Si 1s)励起と吸着種(S 1s)の内殻励起により引き出される解離反応を調べた。放射光照射により生じるイオン脱離生成物を四重極質量分析により検出した。結果としてはイオウ原子イオンがあるイオウ内殻共鳴励起で生じ、基板Si励起では検出限界以下という大きな選択性が観測された。励起される吸着分子の数は歴される基板原子数に比べ数桁も小さいにもかかわらず、生成収量は大きいという非常に高い選択性が示された。
関口 哲弘; 関口 広美*; 馬場 祐治
Photon Factory Activity Report 1998, Part B, P. 68, 1999/11
シリコン(Si)半導体上における簡単な炭化水素分子の表面化学反応はSiCやダイヤモンド薄膜の生成などの応用面に関連するため広く研究されている。本研究においては室温及び低温(93K)のSi基板上にアセトン((CH)CO)を吸着させた系について放射光からの軟X線を励起光源として起こる解離反応を調べた。アセトンは放射光の励起エネルギーを変えることにより、分子中の(-CHとC=O)の二種類の炭素原子を選択して内殻励起することができると考えられている。放射光照射により生じるイオン脱離生成物を四重極質量分析により検出した。単分子約50分子吸着層についてフラグメント収量の励起光エネルギー依存性を測定した。実験結果としてはメチル基(-CH)の炭素が内殻励起された場合のみ、CH(n=0-3)イオンが顕著に生成することがわかった。この結果はこの共鳴励起でC-C結合が特に顕著に切断されていることを示唆している。
関口 哲弘; 関口 広美*; 馬場 祐治
Atomic Collision Research in Japan, (25), p.82 - 83, 1999/00
シリコン(Si)半導体上における簡単な有機分子の表面化学反応はSiC薄膜生成などの応用面からの興味も相俟って、活発に行われている。本研究においては室温及び低温(93K)のSi基板上にアセトン((CH)CO)を吸着させた系について放射光の軟X線を励起光源として起こる解離反応を調べた。アセトンは励起エネルギーを変えることにより、分子中の(-CH3とC=0)の二種類の炭素原子を選択して内殻励起することができる。放射光照射により生じる脱離フラグメントイオンは四重極質量分析により直接検出した。単分子~約50分子吸着層についフラグメント収量の励起光エネルギー依存性を測定した。その結果、メチル基(CH)の炭素が内殻励起された場合のみ、CH(n=0-3)イオンが顕著に生成することが見いだされた。これはこの共鳴励起でC-C結合が特に顕著に切断されていることを示唆している。
水田 幸男*; 森下 憲雄; 桑田 敬治*
Chemistry Letters, (328), p.311 - 312, 1999/00
光誘起重合反応における生長ラジカルが、イソプレン及びメタクリル酸メチルモノマー系において、時間分解ESR分光法により初めて検出・同定された。スピン-格子緩和過程を取り入れた化学反応論的取り扱いにより、実験的に得られたFT(フーリエ変換)ESR信号の時間発展を再現した結果、生長ラジカルの生成速度定数及びスピン-格子緩和時間が決定された。
寺岡 有殿; 吉越 章隆*
Japanese Journal of Applied Physics, 38(Suppl.38-1), p.642 - 645, 1999/00
被引用回数:17 パーセンタイル:60.61(Physics, Applied)SPring-8に建設された原研軟X線ビームラインBL23SUに設置予定の表面光化学反応研究用実験ステーションの設計を紹介する。この実験ステーションでは、半導体表面上で起こる、分子の運動エネルギーで誘起される新しい表面反応の反応ダイナミクスと単原子吸着層の軟X線による光分解反応の素過程の研究を目的としている。反応分子の供給方法としては、分子の運動エネルギーを連続的に変化させることができる、また、反応室の圧力を10Pa以下に保持できる超音速分子線を採用する。この超音波分子線とビームラインの放射光を用いて、反応最中の高分解能電子分光を行うことができる表面反応分析装置を設計した。これによって、表面の化学状態と入射分子の運動エネルギーの関係の解明と、表面単原子層の光分解を利用した新しいサーファクタント形成方法を研究する。
鈴木 康夫
Proceedings of 24th Linear Accelerator Meeting in Japan, p.63 - 65, 1999/00
加速ビームへのレーザー光を効果的に応用するための光学系-多面鏡システム-を研究した。粒子ビームはその相互作用領域の軸上を通過する。この多面鏡システムは、その出入口を広く確保できるので、粒子ビームはその相互作用領域に入り、そこに貯えられたレーザー光と多重に相互作用できる。このスキームは、陽子蓄積リングの荷電変換入射に、また重イオンビームには多価イオン生成に、また、高エネルギー電子ビームには逆コンプトン散乱の光蓄積・増巾器として用いることができる。さらに光化学プロセッシング、レーザー分光等にも用いられる。
馬場 祐治
電気学会原子力研究会資料, p.25 - 29, 1997/09
「原子力研究会」において、放射光軟X線を用いた固相分子、吸着分子の元素選択的、サイト選択的な表面光化学反応に関する最近の成果を発表する。
和田 幸男; 佛坂 裕泰*; 佐々木 聡; 冨安 博*
PNC TY8607 97-002, 158 Pages, 1997/05
本報告書は、平成4年から東京工業大学原子炉工学研究所の富安研究室と動燃事業団先端技術開発室とで継続的に進めている、光化学研究に関する平成8年度共同研究成果報告書である。本年度は昨年度に引き続き、アクチノイドおよびランタノイド元素の光化学分離および光励起量子効果利用に関する基礎研究を分担して行った。その結果、3M硝酸溶液中のPuおよびNpを光化学的に原子価調整し、TBP溶媒中に共抽出した後、選択的にNpだけを再び同じ3M硝酸溶液中に戻す、光化学逆抽出技術の原理実証に成功した。また、アクチノイドおよびランタニノイド元素の光化学的分離手段として可能性のある、これらの元素の大環状配位子錯体を用いた光励起一反応挙動実験を行った。その結果、多種類のLn3+を含む水溶液中の特定のLn3+錯体に固有な光吸収波長の光を照射することにより、そのLn3+を選択的に分離することが可能であると結論された。また、Cm3+の模擬物質として用いたEu3+に関する知見では、Eu3+と同程度の励起寿命と遥かに大きなモル吸光係数を持つCm3+に対しても適用可能であると推定された。
光量子科学センター
JAERI-Review 97-004, 62 Pages, 1997/03
本報告書は、大阪支所において平成7年度に行われた研究活動をまとめたものである。主な研究題目は、レーザー有機化学反応の研究と放射線加工技術の基礎研究であり、本報告書では以下の研究活動について詳細に述べる。レーザー光による物質変換、レーザー光による高分子の表面化学反応、放射線による微細加工、放射線による金属微粒子の合成、線量測定および照射施設の運転・管理。
関口 哲弘; 関口 広美*; 田中 健一郎*
Atomic Collision Research in Japan, (23), p.84 - 85, 1997/00
電子励起による固体表面からのイオン種の脱離過程は、二次イオン質量分析(SIMS)及び電子刺激脱離(ESD)などの表面分析における重要かつ基礎的な過程である。本研究は選択励起されたSi(100)表面上の吸着ギ酸分子(DC00-)の分解及び脱離課程を光イオン・光イオン・コインシデンス分光法により調べた。C-Dコインシデンス収量の励起エネルギー依存性を詳細に測定し、敷居エネルギー等を決定した。C-Dは炭素内殻励起で生じ、酸素内殻励起ではほとんど増加を示さない。また二電子イオン化(shake-off)の断面積が一電子イオン化(normal)に比較して10%以下であるにもかかわらず、C-D収量はshake-off領域でnormal領域の2倍以上に増加した。このことから、脱離前駆体のイオン価数及び初期光励起における内殻ホールの位置がどの原子にあるか等がイオン脱離反応において重要であることが見い出された。
関口 広美*; 関口 哲弘
Atomic Collision Research in Japan, (23), p.82 - 83, 1997/00
光刺激イオン脱離収量の内殻吸収端微細構造(PSID-NEXAFS)スペクトルは特定の表面吸着種の空軌道の性質等の局所的情報を与えると期待されている。本研究においては、Si基板に単分子吸着したDCOO吸着種からの酸素内殻励起領域におけるPSID-NEXAFSを高分解能軟X線分光器を用いて測定した。結合エネルギーの化学シフトを利用して、二種類の酸素を選択して内殻励起し、それぞれの励起で起こる脱離反応収量の違いを調べた。ヒドロキシ基酸素(-O-)の励起によりCDOイオン収量が増加し、カルボニル基酸素(C=O)の励起ではCD収量が増加した。このことから選択励起された原子の近傍で優先的に結合切断及び脱離が起こることが明らかにされた。また、O収量はカルボニル基酸素の励起で増加した。この結果は、ヒドロキシ酸素が基板のSi原子に直接結合しているため励起エネルギーが基板に散逸したためと考えられる。
清水 雄一
J. Chem. Soc., Perkin Trans., 1, 0(9), p.1275 - 1278, 1997/00
本論文は、XeFエキシマレーザー(351nm)からの高強度円偏光を用いる酒石酸の効率的な不斉合成について述べたものである。ラセミ酒石酸に集光した右円偏光を照射すると、L-酒石酸の濃度は照射と共に減少するが、D-酒石酸の濃度は照射によってもほとんど変化しない。このように、右円偏光を用いてD-酒石酸を選択的に濃縮できることがわかった。一方、左円偏光を用いた場合には、L-酒石酸を選択的に濃縮できることがわかった。これらの結果から、高強度の円偏光を用いると、その向きを変えるだけで酒石酸のエナンチオマーを選択的に効率よく合成できることが明らかになった。このエナンチオマー区別反応のフルエンス依存性から、XeFレーザーからの高強度の円偏光を用いる酒石酸の不斉合成反応は酒石酸のカルボキシル基の2光子吸収過程を経る脱カルボキシルのような光分解反応を通して進行することを明らかにした。
関口 哲弘; 関口 広美*; 小尾 欣一*; 田中 健一郎*
J. Phys., IV, 7, p.505 - 506, 1997/00
ギ酸メチル吸着系の炭素(C)および酸素(O)K殻励起により起こる光刺激イオン脱離反応をパルス放射光を利用した飛行時間質量分析(TOF)法により調べた。CおよびO 1s内殻電子励起によりH,D,CH,O,OCH(n=0~3)などの脱離イオン種がTOFスペクトル上で帰属された。また、これらのイオン収量の励起波長依存性を定量的に測定した結果、いくつかの共鳴内殻励起で励起状態における電子構造を顕著に反映して脱離収量が増加することがわかった。脱離機構を更に調べるため、脱離イオン同士での光イオン-光イオン-コインシデンス(PIPICO)実験を試みた。その結果(H-CH),n=0~2コインシデンス・ピークが観測され、またCHイオン収量の励起スペクトルと一致した。このことから、脱離イオン収量の共鳴励起増強効果のモデルとして表面上での多価イオン生成が関与していることが示された。
清水 雄一; 杉本 俊一*; 河西 俊一; 鈴木 伸武
Laser Chem., 17, p.97 - 108, 1997/00
過酸化水素存在下でのマレイン酸溶液の光化学反応をエキシマレーザーを用いて研究した。レーザー光の波長効果の研究から、オキシ酸の生成にはXeF光(351nm)が有利であることがわかった。XeF光による水溶液中の反応では、グリコール酸が主生成物であり、酒石酸生成の選択率は非常に小さかった。しかし、水に1,4-ジオキサンを添加すると、その選択率は急激に増大し、ジオキサン溶液中では、約80%の選択率が得られた。このように、少量の過酸化水素を含むマレイン酸の1,4-ジオキサン溶液を室温でXeFレーザー光照射すると、酒石酸が選択的に直接合成できることを見出した。一方、メタノール、N,N´-ジメチルホルムアミド、アセトニトリルおよびテトラヒドロフラン溶液中の反応では、酒石酸の選択率は水溶液中の反応に比べてほとんど増大しなかった。これらの結果に基づいて、酒石酸の選択的生成の反応機構を考察する。
関口 哲弘; 関口 広美*; 田中 健一郎*
Surface Science, 390(1-3), p.199 - 203, 1997/00
被引用回数:4 パーセンタイル:33.04(Chemistry, Physical)放射光励起によって引き起こされるイオン脱離反応は表面反応の解明や表面状態および構造に関する知見を与えるものとして近年注目を集めている。イオン脱離反応の機構をより深く理解するためには、励起により表面上に生成する多電荷イオン中間体をなるべく直接的に観測することが望ましい。本研究は気相の光化学反応過程を調べるのによく用いられる手法である光イオン・光イオン・コインシデンス分光法を表面反応に応用することにより多電荷イオン中間体の反応挙動を調べたものである。HO/Si(100),DCOOD/Si(100)DCOOCH multilayer試料の結果を示すとともに、各々の結果を比較した。その結果(1)コインシデンスの励起スペクトルは多電子励起領域で大きな増加を示すこと、(2)これら励起スペクトルの立上がり敷居エネルギーは吸着種と基板(又は周囲吸着種)との相互作用を反映して、各々大きく異なること、等が見出された。
清水 雄一; 河西 俊一
Chemistry Letters, 0(11), p.935 - 936, 1996/11
過酸化水素の存在下でアクリル酸の水溶液を高強度のXeFレーザー光(351nm)で照射することによる乳酸の新規な直接合成法について述べる。乳酸の収量はレーザー光の照射量と過酸化水素の添加速度に大きく依存し、最大収量での乳酸生成の量子収率と選択率はそれぞれ0.3および50%であった。生成物分析の結果から、過酸化水素のレーザー光分解で高密度に生成したOHラジカルはアクリル酸のと位の炭素に均等に付加して、乳酸とヒドロアクリル酸を1:1で生成することがわかった。
河西 俊一; 一ノ瀬 暢之
レーザー研究, 24(7), p.780 - 786, 1996/07
フッ素系高分子は耐熱性や耐薬品性などに優れているが、表面の接着性、親水性が乏しいことから表面改質の要求が高い。しかしながらフッ素系高分子は化学的に安定なため改質が困難である。そこで、レーザーの単色性や高強度性などによる特異反応を利用した改質の研究が行われるようになってきた。本報告では、レーザーを用いたフッ素系高分子の表面改質についての研究の現状をまとめるとともに、「レーザー有機化学反応の研究」で実施したフッ素系高分子表面のレーザー光化学修飾について紹介する。これは、フッ素系高分子を種々の化合物の水溶液や溶媒中でレーザー光を照射することによって、フッ素系高分子表面に化合物の持つ官能基を選択的に反応させる技術であり、これによってフッ素系高分子表面に任意の機能を付与することができるようになった。さらに、先端レーザーを用いた研究への展望を述べる。